オネストマーケティング

2018年2月16日の日経MJに"口コミ新時代「オネストマーケティング」"という新しい言葉に関する記事が掲載されました。オネスト(正直)なマーケティングです。

弊社顧客にも、「ランキングサイト」や「オススメサイト」への有料掲載依頼の営業が頻繁にありますが、このランキングやオススメを対価を支払って獲得するマーケティング(というのでしょうか?)に、とっても疑問を持っていました。なので、この「オネストマーケティング」には、とても興味と期待があります。

こちらは日経MJの「口コミ新時代『オネストマーケティング』」に関するツイートです。

 

オネストマーケティングとは

私たち消費者が商品を購入したり何かの意思決定(どの医療機関で治療を受けるといった意思決定など)する際に、基本的には、友人知人に聞いてみたりします。さらには、インターネットの口コミ情報をチェックするのは、昨今多くの人のアクションかと思います。

少し以前ですと「ステルスマーケティング(以下に引用あり)」といって、多くはタレントや有名人が使用してもいないのに「良い商品」と評価したり、対価を受け取った宣伝活動なのに、それとは気づかれないように宣伝するマーケティング手法がありました。

こういったマーケティング手法ではなく、あえて自社の製品やサービスのマズい情報、ネガティブな情報、を公開+発信する企業、信頼できる職業の人が無償で推薦したり、演出のない街角インタビュー動画やコメント内容に対価を支払わない出口調査の動画、これらが逆に消費者の信頼を獲得している。

これらを活用した媒体をオネスト(正直)メディアとして、これら一連の手法をオネスト(正直)マーケティングとして口コミ時代の新しい主役になってきたと考えています。

 

消費者の購入や意思決定の行動モデル

まずは、購入や意思決定に至る消費行動モデルを知る必用があります。有名なのは、AISAS(アイサス)とAIDMA(アイドマ)があります。

AISASは、自ら情報を検索し発信する消費者=アクティブコンシューマーの出現に伴い、それまで使われていたAIDMAに変わる消費行動モデルです。

AIDMAは、情報を発信する企業側とそれを受ける消費者という“ワンウェイ”モデルでしたが、AISAS は、Search(検索)とShare (共有)という消費者の能動的な行動を加えて、企業と消費者が互いに関与し合う“インタラクティブ”な関係へと変化しました。また、消費者の行動がActionで終わらずに、その経験を共有し合うところまでを消費行動モデルとして取り入れています。

Dual AISAS”で考える、もっと売るための戦略。より抜粋

上記引用のAIDMAとAISASの違いですが、S(サーチ:検索)とS(シェア:共有)があります。つまり、AIDMAはワンウエイ(1方向)モデルでしたが、AISASは、企業と消費者及び消費者間で、お互いに関与し合うインタラクティブな関係へと変化したととらえられています。

こういった現在の環境の中で、消費者の意思決定に「口コミ」が重要になってきました。知人間でやりとりされる「口コミ」情報は、まだ、誰が発信したのかが明確なので、発信者の指向性や方向性など一定のフィルタリングしたうえでの判断が可能でした。ところが、インターネット上での口コミは、誰が発信したのかがわかりづらくなっています。

 

昨今の口コミ(サイト)情報とは、

  1. 膨大な情報があふれ、どれが正しく、どれが間違っているのかがわからない。
  2. 玉石混交(ぎょくせきこんこう:優れたものと劣ったものが入り交じった状態)の情報が集まる。

となりました。広告料を支払う事で、使った事もない商品でも、とても良いと評価したようなコンテンツができてしまう、そんな状況が続いていました。ステルスマーケティングがそれです。

ステルスマーケティング(英: Stealth Marketing)とは、消費者に宣伝と気づかれないように宣伝行為をすること[1]。略称はステマ。 アンダーカバー・マーケティング(英: Undercover Marketing)とも呼ばれる。ゲリラ・マーケティングの1つ。

wiki:ステルスマーケティングより抜粋

 

 

そこで、あえて隠しておきたい情報(ネガティブな評価など)をあえて発信する。さらに、テキスト(文字)ではなくインタビュー動画などで、人々の意見をフィルタリングなく収集共有する事で、消費者の信頼を得るスタイルを、日経MJでは「オネストマーケティング」と呼び記事として取り上げました。

 

オネストマーケティングをフレームワークしてみる

 

→ カスタマー(消費者)

  1. 商品購入や意思決定の際、インターネット情報をチェックするのは当たり前。
  2. 購入したり意思決定した内容をネット上にシェアするのは一般的な行動。
  3. 複数の口コミサイトの情報を見比べた上で判断している。

 

→ インターネット上の「口コミ」(Webサイト)

  1. 膨大な情報があふれ、どれが正しく、どれが間違っているのかがわからない。
  2. 誰が発信したものかが見えない。(広告として発信されているのでは?)
  3. 正当な評価を掲載できている可能性が不明。(良い点のみ掲載されているのでは?)

 

→ オネストメディア(信頼できるメディア)

  1. 隠しておきたいマズい情報をあえて等身大として発信している。
  2. ネガティブな情報はタブーとされてきたが、それすらも公開している。
  3. 編集のない、ヤラセではない街角インタビューや出口調査の動画、医師などの顔出しによる推薦、など。

 

こうしてみると、マーケティング環境分析と市場機会の発見の環境分析の3C(Customer・Competitor・Company)と似ているようにも感じました。

3C分析とは、外部環境の市場と競合の分析からKSFを見つけ出し、自社の戦略に活かす分析をするフレームワーク。

グロービス経営大学院:3C分析より抜粋

 

オネストマーケティングを実践している企業の実際のアクションや評価

以下社名は企業さんの了承を得次第公開します。まとめは、2月16日の日経MJ誌及び各企業ご担当者へのヒアリング(メールなど)から作成しています。


東京ドクターズ東京23区病院・医院・クリニック情報サイト
運営社:株式会社アートブルー

→どのように考えたか

  • 医療機関情報の口コミサイトは多いが、オススメやランキング・名医といった情報を広告費を支払うことで掲載できてしまうサービスが多い。
  • 医院やクリニックの評価シートを掲載している医院やクリニックも多く、患者アンケートから集計したとされているが、信憑性が薄い。
  • これらを医院・クリニックの出口調査をはじめ街頭インタビューを実施することで、「ヤラセ(さくら)」を極力排除した。
  • ネットの書き込みは誰が書き込んでいるのかわからないから、信用できない。

 

ほぼ同時期に東京ドクターズは「ワールドビジネスサテライト(テレビ東京)」に取材されていました。

『政府は病院の口コミやランキングサイトは広告にあたるとして規制に乗り出す。危ない情報もあることから規制を歓迎する声の一方で、病院を選ぶのが難しくなるとの意見も出ている。規制の影響と波紋が広がる現場を取材する。』

特定の医療機関に誘導するような口コミや、誰かに金銭を支払って、有利なコメントを集めているような口コミサイトやランキングサイトがあるのなら、こうした規制によって淘汰されるべきだと思います。ただ、最近ではネットの口コミを見て、病院を選ぶといったアクションが常識になりつつあるので、規制を強化しすぎて『口コミすべてがダメ』となってしまうと、多くの方々の利便性が損なわれてしまうと思います。

東京ドクターズ:ワールドビジネスサテライト(2017.11.14放送・テレビ東京)より抜粋

 

→具体的な掲載内容

 

→成果は?

  • 医師による医師の推薦は、ユーザーにとって大きな指標であると感じる。

 

→取材(街頭インタビュー)された方のコメント

  • 情報は人から伝え聞いたものを重視しているから、動画なら信用できるし安心

( 東京ドクターズ様からの回答 )

1)最も効果を感じた部分
→ユーザーに必要と感じてもらえてる。アクセス数アップ。メディアの露出などなど、まだまだこれから出てくると思います。

2)当初、想定した有効部分と実際の効果の差を感じた点
→ メディア関連の方々が以外と興味を持ってくれた。

3)活用媒体として、現在、webサイトが中心のようですが、他にも注力していこうと考えている媒体はございますか?
→YouTube、アプリ、データベースの作成

4)オネストマーケティングの課題と感じられるのはどんな点でしょうか?
→利益につなげるための綿密な収益設計が難易。

5)オネストマーケティング実施を後押ししてくれたのは、どんな事でしょうか?
→自身の体験。他社との差別化への意識


GR(インターネットで賃貸物件紹介サービス)

→どのように考えたか

  • 辛口コメントを載せた方が、むしろ信用してくれる。
  • あくまで等身大にこだわる(他のサイト:物件写真撮影時に広角レンズやアングルで広く見せている)。

 

→具体的な掲載内容

  • 眺望が良くありません。目の前を塀をネコが通り過ぎてびっくりしました。
  • 収納がありません。ミニマムに行きましょう。
  • 隣が生コン工場です。

 

→成果は?
内見後の成約率は一般的に5割程度が平均とされるが、GRは8割近い。

 


TA(旅行口コミサイト)

→どのように考えたか

  • ガイドライン(「伝聞ない自分の体験である」「営利目的でない」)に沿っていれば、ネガティブな内容でも載せる。
  • 中立さが強味で存在意義。
  • 施設(宿泊ほか)側への忖度はない。
  • ネガティブな意見が書かれたからと言って客が来なくなるわけではない。
  • 利用者は一つだけでなく複数の口コミを見比べて判断している。施設側がどれだけ真摯に回答したり、サービスを改善しているかを客は見ている。

 

→具体的な掲載内容

 

→ユーザーの反応

 


ET(転職求人サイト)

→具体的な掲載内容

  • 研修制度が充実していない。
  • 住宅補助が数年で打ち切られる。

→ユーザーの感触

  • 調べるのが難しいナマの企業像をつかむことができる。

→採用する企業側として

  • より志望の強い応募者が集まる。

→業界への影響

  • 「ネガティブ情報はタブー」といった求人広告のこれまでの常識が変わった。
  • ET同様にネガティブ口コミ情報を掲載する動きがある。

 


IM(食品メーカー)

→具体的な掲載及びアクション内容

  • 「残念なIM応募キャンペーン」実施。ネガティブ投稿を受け付け。
  • ・・の味はせず・・・の味がする、(海外の地名)に進出するという意味不明さ、などネガティブ投稿を掲載。
  • IMを知らない、と投稿すると市内を営業者でドライブ旅行。

 

→成果は?

  • ネットを中心に知名度が全国に広がった。
  • 首都圏からの通販申込みが3倍に伸びた。
  • 都内で店頭に置く店が増えた。

 

( IM社様からの回答 )

オネストマーケティングといった認識がなくコンテンツの一つと理解しております。(ご返信いただきましたメール原文抜粋)

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